忘れられない 夜:マラテで バラを 売っていた 少女との 出会い

マラテで 深夜(しんや)に バラを 売(う)っていた 少女(しょうじょ)との 個人的(こじんてき)な 出会(であ)いを 通(とお)して、フィリピンの 子供(こども)の 搾取(さくしゅ)や 貧困(ひんこん)の 現実(げんじつ)を 描(えが)く 実話(じつわ)。

Nov 30, 2025 - 16:21
Dec 6, 2025 - 17:02
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忘れられない 夜:マラテで バラを 売っていた 少女との 出会い

 

若(わか)い 船員(せんいん)だった 私(わたし)が 見(み)た フィリピンの 現実(げんじつ)

イタリアの 船(ふね)で7か月間(かげつかん)の 契約(けいやく)を 終(お)えて フィリピンへ 帰(かえ)ってきたとき、私は 心(こころ)も 体(からだ)も 疲(つか)れ切(き)っていました。しかし 同時(どうじ)に、久(ひさ)しぶりに 陸(りく)の 空気(くうき)を 吸(す)い、普通(ふつう)の 人生(じんせい)に 戻(もど)ることが 嬉(うれ)しくて たまりませんでした。
その 夜(よる)、私は 休暇(きゅうか)の 初日(しょにち)を 祝(いわ)うため、いちばん 好(す)きな 場所(ばしょ)である マラテへ 向(む)かいました。
従兄(いとこ)と 一緒(いっしょ)に、道端(みちばた)の オープンバーに 座(すわ)り、ビールと おつまみを 楽しんでいました。
時刻(じこく)は 夜(よる)の10時半(じゅうじはん)を 過(す)ぎていましたが、マラテは 相変(あいか)わらず 眠(ねむ)らない 街(まち)。
音楽(おんがく)、笑い声(わらいごえ)、すれ違(ちが)う 人々(ひとびと)。
私は ようやく「生(い)きている」実感(じっかん)を 味(あじ)わっていました。

 

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バラを 売(う)る 少女(しょうじょ)

しばらく 飲(の)んでいると、小(ちい)さな 女(おんな)の 子(こ)が 私(わたし)の 目(め)の 前(まえ)に 立(た)ちました。
腕(うで)いっぱいに バラの 花束(はなたば)を 抱(かか)えています。
「おにいさん、バラ かってください…」
その 声(こえ)は とても 弱(よわ)く、疲(つか)れていました。
彼女(かのじょ)は どう 見(み)ても7歳(さい)くらい。
そして 時刻(じこく)は ほぼ 深夜(しんや)。
私は 頭(あたま)が 真(ま)っ白(しろ)になりました。
なぜ こんな 夜遅(よるおそ)くに?
なぜ 危険(きけん)な マラテの 通(とお)りで?
なぜ 子供(こども)が 働(はたら)いている?
胸(むね)が 締(し)めつけられるような 悲(かな)しさと、
説明(せつめい)できない 怒(いか)りがこみ上(あ)がりました。
私は 少女(しょうじょ)に たずねました。
「全部(ぜんぶ)で いくら?」
「100ペソ です…」
私は300ペソを 渡(わた)し、
「全部(ぜんぶ)買(か)うよ。でも もう うちに 帰(かえ)りなさい。」
と 優(やさ)しく 言(い)いました。
バラは 受(う)け取りませんでした。
休(やす)んでほしかった だけです。
私は、彼女(かのじょ)が 家(いえ)に 帰(かえ)ったと 信(しん)じていました。
しかし、それは 甘(あま)い 期待(きたい)でした。

 

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母親(ははおや)と パトカーと、私(わたし)の 怒(いか)り

数分後(すうふんご)、パトカーが 私(わたし)たちの すぐそばに 停(と)まりました。
同時(どうじ)に、向(む)こう側(がわ)から 一人(ひとり)の 女(おんな)が 走(はし)ってきて、隣(となり)の バーに 駆(か)け込(こ)みました。
そして 出(で)てきたとき、彼女(かのじょ)は あの 少女(しょうじょ)を 引(ひ)きずっていました。
私は 椅子(いす)を蹴(け)って 立(た)ち上(あ)がり、女(おんな)に 詰(つ)め寄(よ)りました。
「その 子(こ)、あなたの 子供(こども)ですか?」
「そうよ!何(なに)よ あなた!」
怒(いか)りが 爆発(ばくはつ)した 私(わたし)は 言(い)いました。
「恥(は)ずかしくないのか?こんな 夜遅(よるおそ)くに 子供(こども)を 働(はたら)かせて。もう 眠(ねむ)る 時間(じかん)だろう。」
すると 女(おんな)は 叫(さけ)びました。
「関係(かんけい)ないでしょ!あなたに!」
そして 少女(しょうじょ)の 手(て)を 強(つよ)く 引(ひ)き、暗闇(くらやみ)の 中(なか)へ 消(き)えていきました。
周(まわ)りの 人(ひと)が 教(おし)えてくれました。
その 時期(じき)、未成年(みせいねん)の 夜間外出禁止(やかんがいしゅつきんし)が 実施中(じっしちゅう)だったと。
だから 母親(ははおや)は 警察(けいさつ)を 恐(おそ)れて 逃(に)げたのです。
しかし、どんな 理由(りゆう)が あろうとも、私は こう 思(おも)いました。
これは 児童虐待(じどうぎゃくたい) だ。

 

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20年後(にじゅうねんご)の 今(いま)でも 忘(わす)れない

あの 夜(よる)から20年(にじゅうねん)。
私は いまだに あの 少女(しょうじょ)の 顔(かお)を 忘(わす)れられません。
疲(つか)れた 目(め)。
怖(こわ)がる 表情(ひょうじょう)。
バラを ぎゅっと 握(にぎ)る 小(ちい)さな 手(て)。
彼女(かのじょ)は 今(いま)ごろ 27歳(さい)くらいでしょう。
自分(じぶん)の 子供(こども)が いても おかしくない 年齢(ねんれい)です。
私は 考(かんが)えてしまいます。
彼女(かのじょ)は あの 貧困(ひんこん)と 虐待(ぎゃくたい)の 連鎖(れんさ)から 抜(ぬ)け出(だ)せた のだろうか?
それとも、同(おな)じ 連鎖(れんさ)に 飲(の)み込(こ)まれて しまった のだろうか?
多(おお)くの 人(ひと)は
「考(かんが)えすぎだよ」
と 言(い)うかもしれません。
しかし 私(わたし)は 実際(じっさい)に 見(み)てきました。
女の子(おんなのこ)が 大人(おとな)になり、売春(ばいしゅん)に 流(なが)される のを。
男の子(おとこのこ)が 少年犯罪(しょうねんはんざい)から 本格的(ほんかくてき)な 犯罪(はんざい)へ 落(お)ちていく のを。
これは 想像(そうぞう)では ありません。
現実(げんじつ) です。

 

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私(わたし)が この 話(はなし)を 伝(つた)える 理由(りゆう)

私(わたし)は、この 話(はなし)を 誰(だれ)かに 伝(つた)したいのです。
子供(こども)を 利用(りよう)し、働(はたら)かせ、苦(くる)しめる ことは、誰(だれ)が 相手(あいて)であれ 許(ゆる)されない。
親(おや)であっても、血縁(けつえん)であっても。
「自分(じぶん)には 関係(かんけい)ない」
「知ら(し)ない 人(ひと)だから」
そんな 言葉(ことば)で 子供(こども)の 命(いのち)を 見捨(みす)てては いけない。
子供(こども)には 声(こえ)が ない。
選択(せんたく)が ない。
守(まも)る 力(ちから)が ない。
でも 大人(おとな)には ある。
沈黙(ちんもく)は、加害者(かがいしゃ)を 守(まも)るだけ。
声(こえ)を 上(あ)げることが 子供(こども)を 守(まも)る。
あの マラテの 夜(よる)が 私(わたし)に 教(おし)えてくれたのは——
たった 一瞬(いっしゅん)の 勇気(ゆうき)が、
誰(だれ)かの 人生(じんせい)を 変(か)えることが ある。
しかし 沈黙(ちんもく)は、何(なに)も 変(か)えない。

 


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DKmm Watanabe DKmm Watanabe is a full-stack web developer and an IT professor at フォーラム情報アカデミー専門学校 (Forum Information Academy Vocational School) in Niigata City. Passionate about technology and creativity, he enjoys traveling, writing, connecting with new people, and savoring a refreshing Chūhai (チューハイ). Explore his projects and portfolio online at www.derusan.com.